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脱炭素社会へ向けて活用する再生可能エネルギーとは?|ESG Talk #16

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今回は、脱炭素社会に向けたESGの取り組みとしてエネルギーシステムや日本の動きについてお話しします。昨今では、カーボンニュートラル、モビリティーの電動化、再生可能エネルギーなど様々な取り組みがあります。そして、SDGsの目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」で掲げられているように、全ての人が安心してエネルギーを手に入れられることと、CO2が出ない環境に良いクリーンなエネルギーを増やしていくことが目標として、個人や企業で求められています。そして脱炭素社会に活用されるエネルギーがどのようにつくられ、今後日本が再生可能エネルギーや次世代エネルギーの活用をどのように取り入れていくか、3回に分けてお届けします。

エネルギー消費の現状

私たちの生活に欠かせない、電気やガス、ガソリンなどのエネルギーですが、世界では約8億人が電気のない生活を送っています。電気が使えない地域では、薪や炭を燃やして生活しているため、煙で汚れた空気で健康を損なうこともあり、なおかつ夜でも明かりを使うことができない不便な生活を送っている人が海外にはいます。
また、エネルギーの利用は地球温暖化に深く関係しています。18世紀の産業革命以降、人類がエネルギーを本格的に使い始めると共に人口増加でエネルギーの消費が一気に増え、これらのエネルギーは石油、石炭、天然ガスなど化石燃料を元にしたエネルギーが中心となりました。この化石燃料がエネルギーを作り出すときにCO2などの温室効果ガスが発生し、宇宙へ飛ばされる太陽の熱を地球上に滞留させていることが温暖化の主な原因です。このまま化石エネルギーの消費量が増えると地球温暖化が進むと予測され深刻な問題となっています。
さらに、これからもアジアやアフリカなどの経済の成長に合わせて、限りある化石燃料の資源を活用したエネルギー消費は増えると予測されています。また、エネルギー消費だけでなく、CO2を吸収する世界の森林の減少もCO2が増える原因であり、温暖化が進んでいます。

近年注目される次世代エネルギーとは

次にエネルギーにはどのような種類があるか話していきます。エネルギーには、一次エネルギーと二次エネルギーの2種類があります。一次エネルギーは、加工されていない状態で供給されるエネルギーを指し、石油や石炭、原子力、天然ガス、水力、地熱、太陽光や風力のような再生可能エネルギーで、薪や木炭なども含まれます。二次エネルギーは、一次エネルギーを転換・加工して得られるエネルギーを指し、一般家庭やオフィス、工場に送られる電気やガス、ガソリンなどは二次エネルギーの分類です。
石油、石炭、天然ガスなどは化石燃料と言われ、動物や植物の死骸が地中に蓄積し、年月をかけて地圧・地熱などにより編成されてできた有機物です。これらはそのままエネルギーとして使えないので、発電所や石油精製工場で加工され消費者に届けられます。加えて、太陽光や風力のような再生可能エネルギーも一次エネルギーですが、太陽光発電などは一般家庭にも取り入れられているので二次エネルギーとしても利用されます。
また近年注目されているエネルギーが、次世代エネルギー(新エネルギー)です。再生可能かつCO2排出量がゼロもしくは少ない、そしてエネルギー源の多様化に貢献するエネルギーを「次世代エネルギー」と言います。
次世代エネルギーには指定されているエネルギーが10種類以上あります。その中でも太陽光、水力、風力、バイオマス、地熱は自然エネルギーのグループになり、CO2の排出量が少なく、地球への負担が少ないサステナブルなエネルギーです。しかし、莫大な設備費用と設置環境に左右されるというデメリットもあります。これらの新エネルギー、再生可能エネルギーについては次回以降で詳しくお話ししていきます。

出典:エバーグリーン・マーケティング株式会社

出典:株式会社キーエンス

日本のエネルギー問題に対する取り組み

次に日本のエネルギー問題に対する取り組みについて深堀りしていきます。日本は火力発電比率が高く、総発電量自体も大きく、化石燃料への依存度は約85%と大きく占めています。また世界の中でもエネルギーの自給率がとても低い国で、国内にエネルギー資源が乏しく、海外からの輸入に頼ってます。また、輸入に頼っているため、国際情勢によって安定的にエネルギー源が確保できない問題もあります。
化石燃料への依存度が高い日本ですが、 2020 年 10 月に「2050 年カーボンニュートラル」を宣言しました。しかし、その達成は他国と比べても容易ではないのが現状です。目標達成のために、2050年までにカーボンニュートラルを実現する日本が行動すべきポイントを三菱総合研究所が以下の3点にまとめました。

・電力部門の早期ゼロエミッション化
・戦略的なイノベーションの誘発
・需要側の行動変容

3つ目にあげられた「需要側の行動変容」は最も早く取り組むべき点と提言し、エネルギーを利用する企業や消費者が、価値観を考え直し、脱炭素化に向かう選択をすることが重要だと提言しています。たとえば、企業が購入電力を再エネ由来に切り替えたり、人々が自動車をガソリン車から電気自動車に買い替えたりする行動も該当します。これらは「今からでもできる」対策であり、脱炭素化への動きを加速させる重要な役割を持つと思います。
また、需要側の行動変容を促す具体策の一つとして「カーボンプライシング」があげられます。カーボンプライシングは、排出する炭素に価格を設定し、排出量の少ない方法や商品の選択を促すことです。また、排出者の行動を変容させる政策手法として、炭素税やクレジット取引などがあります。それらを活用することによってコストが発生しますが、低炭素技術やサービスに対する需要を喚起し、新たな市場を創出することも想定されています。また企業では低炭素技術開発や無形資産への投資意欲を刺激することができ、イノベーションが期待できます。これらの三つの対策による削減効果は合計で 1 億 9800 万 トンのCO2となるそうです。

出典:三菱総合研究所(MRI)

出典:環境省_カーボンプライシング

企業が、脱炭素向けの技術を選べる時代なので、できる限り環境負荷の少ない再生可能エネルギーを使用することが重要であり、我々消費者も環境負荷の少ないエネルギーやサービスを選び、脱炭素を意識して行動することが必要です。最近は脱炭素に向けた世界的な潮流がますます強くなっています。カーボンニュートラルの達成は簡単ではありませんが、それに向けた取り組みを未来への投資と考え、個人、企業、自治体など全てのステークホルダーが一体となって行動することが望まれます。

(執筆:Rena 編集:Onlab事務局)

出典:一般財団法人 家電製品協会 省エネ家電 de スマートライフエネルギー消費の現状と節電
出典:JPOWER もっと知ってほしい石炭火力発電 世界最高水準の発電効率

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